持方のこんにゃく芋
2013年12月26日
水府地区の北端、竜神峡の最源流に、にほんの里百選に選ばれた「持方」地区があります。
奥久慈の名峰男体山の懐に抱かれた秘境の雰囲気が横溢する山里です。
22日の日曜日の夕方、車を飛ばして、須賀川悦久さん、静枝さんご夫妻を訪ねました。
須賀川さんは専業の農家です。繁殖和牛6頭、コンニャク、水稲、豆類、かぼちゃ、カブ等の複合経営をされています。
今回の目的は、こんにゃく芋。在来種を育て、刺身こんにゃくに加工して販売されています。
下の写真、上が普及品種の「あかぎ」、下が「在来」です。大きさがまるで違います。
普及品種はうまく育てると一玉で10~20㎏にもなるそうです。
それに比べて在来はせいぜい1.2キロ止まり。収量ではまったく勝負になりません。
須賀川さんは「玉勝負」と表現されていましたが、こんにゃく芋を出荷するなら圧倒的に普及品種が有利です。
それでも在来を栽培する理由は何故でしょうか?
それは圧倒的に美味しい「味」にあると言います。
普及品種はいわゆる「水玉」で味がない。腐りやすい。
対して「在来」は粘りが強い、独特の味がある、と言います。
その違いは、誰が食べてもすぐに分かるのだとか。
静枝さんは、地域のお母さん4名と「生玉合わせこんにゃく」の加工所を切り盛りしています。
一口に刺身こんにゃくと言っても、作り方は色々です。
1・粉合わせ・・・・・こんにゃく芋を乾燥した粉から作る。粉は長期保存できる。輸入物が多い。
観光地などで売られている多くのこんにゃくはこの方式。
2・玉合わせ・・・・・生のこんにゃく芋をすりおろして作る。風味香り共に良い。
こんにゃく芋が休眠している晩秋から早春にしか作れない。
静枝さんたちのこんにゃくは「玉合わせ」で作ります。しかも原材料は100%自家生産の在来品種。
10月から4月までの半年間しか作りません。美味しくないわけがない。
一玉たった1キロ程のこんにゃく芋です。しかしそこまで育つには3年もかかります。
小さな種芋を植え、冬は掘り取って貯蔵し翌春に畑に植えて育てる。。。
これを3回繰り返してようやく一人前の大きさに育つのです。
数か月で収穫を迎える他の作物との大きな違いはここにあります。
こんにゃくは実はとても贅沢な食べ物なんじゃないか・・・・と思えてきませんか?
長く厳しい奥久慈の冬。大切な種芋を寒さから守るのに活躍するのが「火室」。
土壁の2階建てで、一階の土間で冬中火を絶やさずに保温します。
収穫後に乾燥させてギリギリまで水分を落とした芋を笊や木箱に入れて6~7℃で保存します。
長年燻され続けた箱や笊はまるで漆を塗ったような艶を放っていました。
種芋たちは、ここで静かに春の訪れを待ち続けています。
ヨーロッパなどでは伝統的な暮らしをとても大切にしていますよね。
持方集落の須賀川さんの暮らしには山里で豊かに暮らす知恵が詰まっています。
専業農家で、100%自分たちの時間を過ごせるからこそ、守ってこられた暮らしだと思います。
ヒマラヤ南部から伝わった照葉樹林文化の北限が奥久慈地域と言われています。
お茶・こんにゃく・里芋・和紙・漆・ソバ・納豆などは照葉樹林文化の指標的作物と言われています。
常陸太田市にはほとんどの在来種が今も存在します。
そんな種と共にある、伝統を色濃く残した暮らしこそが、受け継ぐべき未来への道標なのかもしれません。
須賀川さんはお茶の在来種も栽培されているそうです。
来年またうかがう理由ができました(笑)
最後に須賀川さんの熱い語りで〆させていただきます。
奥久慈の名峰男体山の懐に抱かれた秘境の雰囲気が横溢する山里です。
22日の日曜日の夕方、車を飛ばして、須賀川悦久さん、静枝さんご夫妻を訪ねました。
須賀川さんは専業の農家です。繁殖和牛6頭、コンニャク、水稲、豆類、かぼちゃ、カブ等の複合経営をされています。
今回の目的は、こんにゃく芋。在来種を育て、刺身こんにゃくに加工して販売されています。
下の写真、上が普及品種の「あかぎ」、下が「在来」です。大きさがまるで違います。
普及品種はうまく育てると一玉で10~20㎏にもなるそうです。
それに比べて在来はせいぜい1.2キロ止まり。収量ではまったく勝負になりません。
須賀川さんは「玉勝負」と表現されていましたが、こんにゃく芋を出荷するなら圧倒的に普及品種が有利です。
それでも在来を栽培する理由は何故でしょうか?
それは圧倒的に美味しい「味」にあると言います。
普及品種はいわゆる「水玉」で味がない。腐りやすい。
対して「在来」は粘りが強い、独特の味がある、と言います。
その違いは、誰が食べてもすぐに分かるのだとか。
静枝さんは、地域のお母さん4名と「生玉合わせこんにゃく」の加工所を切り盛りしています。
一口に刺身こんにゃくと言っても、作り方は色々です。
1・粉合わせ・・・・・こんにゃく芋を乾燥した粉から作る。粉は長期保存できる。輸入物が多い。
観光地などで売られている多くのこんにゃくはこの方式。
2・玉合わせ・・・・・生のこんにゃく芋をすりおろして作る。風味香り共に良い。
こんにゃく芋が休眠している晩秋から早春にしか作れない。
静枝さんたちのこんにゃくは「玉合わせ」で作ります。しかも原材料は100%自家生産の在来品種。
10月から4月までの半年間しか作りません。美味しくないわけがない。
一玉たった1キロ程のこんにゃく芋です。しかしそこまで育つには3年もかかります。
小さな種芋を植え、冬は掘り取って貯蔵し翌春に畑に植えて育てる。。。
これを3回繰り返してようやく一人前の大きさに育つのです。
数か月で収穫を迎える他の作物との大きな違いはここにあります。
こんにゃくは実はとても贅沢な食べ物なんじゃないか・・・・と思えてきませんか?
長く厳しい奥久慈の冬。大切な種芋を寒さから守るのに活躍するのが「火室」。
土壁の2階建てで、一階の土間で冬中火を絶やさずに保温します。
収穫後に乾燥させてギリギリまで水分を落とした芋を笊や木箱に入れて6~7℃で保存します。
長年燻され続けた箱や笊はまるで漆を塗ったような艶を放っていました。
種芋たちは、ここで静かに春の訪れを待ち続けています。
ヨーロッパなどでは伝統的な暮らしをとても大切にしていますよね。
持方集落の須賀川さんの暮らしには山里で豊かに暮らす知恵が詰まっています。
専業農家で、100%自分たちの時間を過ごせるからこそ、守ってこられた暮らしだと思います。
ヒマラヤ南部から伝わった照葉樹林文化の北限が奥久慈地域と言われています。
お茶・こんにゃく・里芋・和紙・漆・ソバ・納豆などは照葉樹林文化の指標的作物と言われています。
常陸太田市にはほとんどの在来種が今も存在します。
そんな種と共にある、伝統を色濃く残した暮らしこそが、受け継ぐべき未来への道標なのかもしれません。
須賀川さんはお茶の在来種も栽培されているそうです。
来年またうかがう理由ができました(笑)
最後に須賀川さんの熱い語りで〆させていただきます。